Don't you see by ZARD

“友達に手紙を書くときみたいに
スラスラ言葉が出てくればいいのに
もう少しお互いを知り合うには 時間が欲しい
裏切らないのは 家族だけなんて
寂しすぎるよ Love is asking to be loved
信じる事を止めてしまえば 楽になるってわかってるけど ”

カラオケで目に留まった曲。中学生の頃聞いていた、懐かしい、懐かしい曲。
そうか。
あの人はこの曲を聴いていた時の私を知らないのだ。
突然そう思って、あまりの脈絡の無さに声を出して笑った。

ちょっと前、あの人に久しぶりに会った。
ちょこちょこ言葉を交わしたけど、ほかにも懐かしい顔がたくさんあって、長い間はしゃべれなかった。
みんな、変わった。ほんの数年でも学生から社会人への壁はとても高い。
でも、交わす言葉の調子や、笑顔や癖はそのまんまだ。
そう言うものがまた格別に昔を思い出させてこちらを笑顔にさせる。
あの人も同じ、相変わらず。
どこに住んでるとか、何をしているとか、そんなことを聞きながら、本当に聞きたかった事は聞けなかった。当たり前だ。そんなキャラじゃない。
名前を呼ばれるのが好き。それがたとえあだ名でも。
でも、私は呼ばない。 呼べない。

曲順が 回ってくる。
歌い出す。不思議、カラオケで歌うのも中学生ぶりなのに、歌っている歌手の声が耳の奥で聞こえるほど、完璧に覚えている。
思春期に見たもの聞いたものがまだ根強く残っている。
それは子供の証だからだろうか?と自虐的に思う。
そうじゃない。
自分の事を歌っているように聞こえたから。
好きな人や尊敬する人の前に出ると、好かれようと思って普段通りに振る舞えない自分とか、諦めた振りをして傷つく事から逃げたりとか、無理をして疲れて青ざめる恋をきっとするんだと思った。
その通りだったとか、そうじゃないとか。
でも思う。恋愛は疲れる。恋愛をしている自分はとても格好悪かった。
今なら、格好悪くたって良いじゃないかって思うけど。
思うようにしているけど。

あの人は多分、私を見てくれている。
そう思う事にしている。
その目を通して今の自分を鑑みる。
こんな自分を見たらどう思うだろうか。良くやった、と褒めてくれるか、馬鹿な事してるんじゃないよ、と叱り飛ばすか、鼻で笑うか。そんな顔は想像出来ないな。
誰にも恥じる事が無いようになんてボーダーが高すぎるから、せめてあの人の前で恥じる事が無いような自分でありたい。
だって、
分析癖みたいに聞こえるあの人の言葉に、実は何度も救われている。反発する事の方が多かったけど、でもそれは考えるきっかけになったから。
あの人の言葉は私の凍えた心に届く。そう言うのは多分、本人の特技なんだと思う。
それが、相互関係であればどんなにか、と思うけど。
こんな私ではあの人の役には多分立てない。
でも、約束の無い関係でなければ続かない関係もある。
数年前にそれを思い知る。

あの人はこの曲を聴いていた時の私を知らないのだ。
それはそのまま、この曲が流れていた頃のあの人を私は知らないのだと言う事につながる。

今度会ったらこの曲知ってる?と聞いてみようか。


BACK