半年後

特に乾燥したんじゃ無かろうか
初めて手荒れを経験した
それまでが温室育ちだったと言うことか

左手の傷跡は、もう
ずいぶん癒えて ほとんど見えなくなっている

夏の後一度
消えないように ナイフで傷つけることもあった
鋭い痛みに けれど「これでも足りない」と
叫んだあの夜・・・
何を手に入れたかったのか
遺したかったのか
今ではもう分からない

忘れながら生きていく

忘れながら生きていく

そのことに
強く反発していたあの頃
なのに
そんな狂気も
覚めた激情も
跡形も無く消えている

そんなものか
嘲笑う自分がいる

オマエノ想イナド 所詮ソノ程度サ

んなことはない と否定したのが半年前
ああ そうだろうよ と認めてしまえるのが今

何が変わったとも思えない
傷が癒えただけ
変わらない
そんなものなんて無いはずなのに

時折 かつての様に
同じような傷を作ろうと
指に力を込めることがある
今この瞬間だってそう
掻きむしりたくなる

きっとまた繰り返すのかも知れない
漠然とそう思う
今度はナイフで切り裂こうか
紅い血が溢れ出すまで
いっそ ナイフを突き刺してしまおうか
そのくらいの傷で 左手が動かなくなるわけで無し
試そうかと本気で思う自分がいる
たぶん 手許に狂気が凶器があれば
この場で...

ソンナ意気地モ無イクセニ・・・

傷は癒えても
狂気の痕は遺したまま
血をみたくなる その狂気を引きずったまま
生くんだろうな

薄い傷跡をみて 想ったこと

*

* *

*

半年後