50.漆黒


真夜中

月も星もない夜空の下

住宅街を自転車で走る

夜とは言っても

街灯で照らされた道は

暗いと言うものではなかった

まっすぐのびる道

その道の先に

豆粒大ぐらいの

漆黒のシミ

目の錯覚かと思ったが違う

確かに何かそこにある

街灯が逆光になって

それが何なのか分からなかった

手が届きそうな距離になって

それは視界から姿を消した

突然に 唐突に

びっくりしたけど

おかげでそれが何かが分かった

でも

全く別のことを連想させた

何と言うか

誰にも触れられない

人の心の闇みたいだと思った

何故そんなふうに思考が飛ぶのか

疲れているのだろうか

人の心には どんな人にも

他人に触れさせない何かがあって

それは 理解しようとすると

分からなくなる 急に消えてしまう

そんなもののような気がした

俺の心の漆黒はどんな姿をしているだろう…?

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道にいた漆黒は

この前うちにも遊びに来た

野良の黒猫だったのでした


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